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研究テーマ

①新規及び特色あるアミノ酸代謝関連酵素の構造と機能の解明

アミノ酸は食品添加物,医薬品原料、化粧品原料として重要であり,またタンパク質の構成単位として生体の必須構成成分です。私たちは乳酸菌,極限環境微生物などの微生物のアミノ酸代謝に関与する新規あるいは特色ある酵素の構造や機能を解明し,生命の根幹を担うアミノ酸の生合成や分解機構を酵素・遺伝子レベルで究明しています。

②酵素による有用アミノ酸の新規定量法の開発

アミノ酸にはさまざまな生理的な作用があります。たとえば血中のL-アミノ酸濃度から癌のリスク評価が可能となっています。また私たちは、D-アラニン、D-アスパラギン酸、D-グルタミン酸が、食品の旨味や味の総合評価を高めることを明らかにしました。しかしこれらの試料中のアミノ酸の分析にはHPLCやGC-MSなどの高価で操作に熟練の必要な装置が必要となります。そこで私たちは、酵素の高い特異性を生かし、有用アミノ酸の 迅速で簡便な立体特異的新規酵素定量法を開発し、医療や食品産業での応用を目指しています。

③タンパク質工学的手法によるアミノ酸代謝関連酵素の機能の解析と改変

アミノ酸代謝関連酵素の中には新規な機能未知のドメインを含むものがあります。そのような機能未知ドメインをホモロジーモデリングで構造予測し、タンパク質工学的にドメインごとに発現し、その機能をin vitroで解析することでin vivoでの機能を予測します。また天然に存在するアミノ酸代謝関連酵素の中には、応用面を考える上で望みとする性質を持たない場合があります。そのような酵素にタンパク質工学的に部位特異的な変異を導入し、機能改変した酵素の医療や食品産業での応用を目指します。

④薬を生合成する有用酵素の探索及び応用

微生物は再生可能資源から化学合成では生産することが困難、または採算に合わない複雑な構造を有する抗生物質や抗がん剤など様々な有益な化合物を生産します。微生物は “生合成マシーナリー”としての複雑な酵素群を巧みに機能させることで、多様な化合物を生産しています。私たちは新規な有用化合物生合成に関与する酵素の探索と機能解析を行っています。これらの酵素群の機能を理解し、応用することで、天然には存在しない化合物であっても人為的にデザインし、微生物に生産させることが可能になると期待できます。

⑤未開拓生物資源からの創薬リードの探索と応用利用

自然界に広く分布する微生物の大部分(>99%)は単離培養することができず、私たち人類は、わずか一部の微生物資源しか産業利用できていないことがわかっています。こういった難培養微生物に由来するDNAを環境中、特に深海などの極限環境から抽出、網羅的に解析することで新しい有用化合物の生産に関与する遺伝子や酵素を探索し、遺伝子組み換え手法を駆使することで、これらの未開拓生物資源も積極的に応用利用することを目指しています。

⑥遺伝子工学的手法を用いた有用微生物の作出

微生物機能を産業応用するためには、より効率的に生産したり、あるいは分解したりできるように微生物を目的に応じて改良するプロセスが不可欠です。私たちは、全遺伝情報(ゲノム)を解読し、遺伝子工学的手法を用いてゲノムを合理的に再設計する、あるいは生産や分解に関与する酵素機能を改変することで、産業上有用な微生物の作出を進めています。